【melonDS】ver1.1 日本語化パッチ作成状況レポート

melonDS エミュレータ

はじめに

Nintendo DS エミュレータとして高い完成度を誇る melonDS ですが、ver1.1 のリリースに伴い、「日本語化パッチはどうなっているのか?」と気になっている方もいるかもしれません。

本記事では、
melonDS ver1.1 をソースコードからビルドし、日本語化パッチを試作した現状についてまとめます。

結論から言うと、日本語化自体は可能なものの、Qt6 が利用できない環境のため Qt5 でビルドしており、公式ビルドとは UI が一部異なる状態です。
今回は、その経緯や現在の問題点、そして今後の方針について整理します。

melonDS ver1.1 日本語化パッチ作成の背景

以前の ver1.0 では、公式が配布している実行ファイルをバイナリレベルで直接改変する方法で日本語化パッチを作成していました。
当時はビルド環境を用意すること自体にハードルを感じていたため、この方法を選んでいました。

しかし、今後も継続して日本語化パッチを作っていくことを考えると、
毎回バイナリを直接書き換える方法は現実的ではありません

そこで今回は方針を変え、
ソースコードの UI 部分を日本語化したうえで、自前でビルドする方法を試してみることにしました。

melonDS はオープンソースで開発されており、UI 部分は Qt を用いて実装されています。
そのため、日本語化パッチを作成するには以下の工程が必要になります。

  • ソースコードの取得
  • ビルド環境の構築
  • UI テキストの翻訳(日本語化)
  • 翻訳済みバイナリのビルド
  • 差分として日本語化パッチ化

今回は 公式 ver1.1 相当のソースコードを元に、これらの工程を一通り実施しました。

ビルド環境と使用した構成

今回のビルド環境は、公式 GitHub に記載されている手順を参考に用意しました。
BUILD.md の Windows 向け手順を参照

概要は以下の通りです。

  • OS:Windows
  • コンパイラ:MinGW(MSYS2)
  • Qt バージョン:Qt5(static)
  • melonDS:ver1.1 系ソースコード

本来、公式の melonDS ver1.1 は Qt6 を使用してビルドされているようです。
しかし、2025年12月時点では MSYS2 の Qt6-static パッケージに不具合があるようで、Qt6 では melonDS を正常にビルドできません

そのため、やむを得ず Qt5 でのビルドを選択することになりました。

日本語化作業の内容

日本語化自体は、従来の melonDS と同様に以下の流れで進めています。

  • UI 文字列(メニュー、設定項目など)の抽出
  • 英語表記を日本語に翻訳
  • ソースに反映してビルド

その結果、
基本的なメニューや設定画面は日本語表示が可能になりました。

実用面だけを見ると、通常の使用で困ることはほとんどありません。

Qt5 ビルドによる UI の違いについて

最大の問題点がここです。

Qt5 でビルドした melonDS ver1.1 では、以下のような点で
公式の Qt6 ビルド版と UI が一致しません

  • ウィンドウレイアウトの違い
  • 一部 UI 部品の見た目の差異
  • 公式スクリーンショットとの微妙なズレ
  • OS のテーマが UI に反映されない

機能的な差はほとんどありませんが、

  • 「公式と同じ見た目で使いたい」
  • 「日本語化パッチを当てても違和感なく使いたい」

という観点では、やはり Qt6 でのビルドが理想だと感じています。

参考までに、現在の UI は以下のようなイメージです。

現時点での日本語化パッチの扱い

現状の日本語化パッチは、

  • 技術的な検証目的
  • 日本語化が可能かどうかの確認用

という位置付けです。

そのため、

  • 一般向けに広く配布するか
  • もう少し調整してから公開するか

については、まだ判断できていません。

今後の方針と課題

理想としては、Qt6 で公式と同一条件のビルド環境を用意できることです。
しかし、公式 GitHub にも具体的な環境構築手順が詳しく書かれていないことを考えると、
Qt6 環境の再現自体がやや難しい可能性があります。

今後は、

  • Qt6 でビルドできる環境の構築方法の調査
  • vcpkg など公式に近い手法の検証

を中心に、もう少し試行錯誤してみる予定です。

おわりに

今回は melonDS ver1.1 の日本語化パッチ作成状況について、現時点での進捗と課題をまとめました。

  • 日本語化自体は可能
  • ただし Qt5 ビルドのため公式版と UI が異なる
  • Qt6 環境の再現が今後の最大の課題

というのが現状です。

進展があれば、
ビルド手順の詳細日本語化パッチの公開可否についても、改めて記事にしたいと思います。

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